ねじを締めたり穴を開けたりする電動ドライバーとドリルドライバー。
「締め付けトルクが一番強いのはどれ?」
今回はそんな疑問を持っている方の為に書きます。
もしもインパクトドライバーのトルクについて知りたい方は以下の記事をご覧ください。
⇒ インパクトドライバーのトルクの目安【保存版】電圧・用途について
目次
電動ドライバーのトルクの目安
ドライバー型の電動工具は「バッテリー電圧」によってパワーが異なります。
一般的なトルクを一覧表にしてみました。
電圧と種類が決まればトルクが分かります。
※大体の目安です。
充電式 電動ドライバー(3.6V)のトルクの目安
電動ドライバーという言葉は少しあいまいです。
「電動のねじ回しはすべて電動ドライバーでしょ?」
こう思われる方も多いと思います。
ですが、一般的に電動ドライバーと呼ばれるものは、バッテリー電圧が3.6Vの小型のねじ回し専用のものです。
商品名は「スクリュードライバー」「ハンディドライバー」などと書かれている事も多いです。
電圧3.6Vの電動ドライバーのトルクは5(N・m)前後です。
また、電動ドライバーにはトルク調節ダイヤル(クラッチ機能)がなく、回転スピード一定で遅い(200回転/分程度)です。
ドリルドライバーのトルクの目安(バッテリー電圧別に紹介!)
3.6V ペン型ドリルドライバーのトルクの目安
電圧3.6Vのドリルドライバー(ドライバドリル)のトルクは
5(N・m)前後
です。
トルク自体は電圧3.6Vの電動ドライバー(スクリュードライバー)と変わりません。
しかしドリルドライバーにはトルク調整ダイヤル(クラッチ機能)があります。
また回転スピードも電動ドライバーより速いです。
「電動ドライバーの高級版」といった感じです。
でもトルクだけで見れば同じ程度です。
7.2V ペン型ドリルドライバーのトルクの目安
電圧7.2Vのペン型ドリルドライバーは「3.6Vペンドリルのパワフル版」といった感じです。
トルクの目安は
8(N・m)前後
です。
ネジ締め用途で使うのであれば、これくらいのトルクが一番使いやすいかもしれません。
7.2V ガングリップ型ドリルドライバーのトルクの目安
上記はイケアが販売しているFIXAというブランドのドリルドライバーです。
商品名には「スクリュードライバー/ドリル」とありますが、クラッチ機能が付いていてキーレスチャック式でかつ回転スピードも400回転/分と少し早いです。
なので電動ドライバーではなく「ドリルドライバー」です。
電圧7.2Vのガングリップ型ドリルドライバーのトルクの目安は、
5(N・m)前後
です。
ちなみにこのFIXA 7.2V ドリルドライバーの最大締め付けトルクも5(N・m)です。
ガングリップ型だからペン型よりトルクがあるんじゃないか?と思ってしまいますが、実際にはペン型と変わらないです。
10.8V以上 ガングリップ型 ドリルドライバーのトルクの目安
ドリルドライバーでも10.8Vになると、一気に本格的な電動工具といった雰囲気になります。
外観 | 電圧 | パワー(最大トルク) |
![]() |
10.8V | 25(N・m) |
![]() |
14.4V | 30(N・m)~50(N・m) |
![]() |
18V | 40(N・m)~60(N・m) |
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18V | 60(N・m)以上 |
10.8V以上の電圧なら、ねじ回しだけでなく金属への穴あけ作業などもこなせるパワーと回転スピードがあります。
トルクが50(N・m)程度になると65mmくらいのコーススレッドビスを木材に打ち込む作業もできます。
DIYで木材に木ネジを打ち込む程度の作業であれば、インパクトドライバーを使わなくてもドリルドライバーだけで作業が可能です。
ただし、90mmを超えるようなコーススレッドビスの打ち込みは難しいでしょう。
あまり負荷の高い作業を連続して行うと故障の原因にもなります。
ハードなコーススレッド打ち作業ならインパクトドライバーを使いましょう。
以下の記事ではインパクトドライバーのトルクや用途の説明をしています。
⇒ インパクトドライバーのトルクの目安【保存版】電圧・用途について
電動ドライバー&ドリルドライバーのトルクと作業の目安。
電動ドリル&ドリルドライバー トルクと作業・用途の関係表
最大締め付けトルク | できる作業・用途 |
2(N・m)~10(N・m) | ねじ回し。 木ネジの下穴開けなどの細い穴あけ。 女性でも手軽に使える。 |
10(N・m)~30(N・m) | ねじ回しとしてはかなり強力。 500円玉程度の穴あけは大丈夫。 いろんな作業が出来る。 |
30(N・m)~60(N・m) | 木材に大きな穴あけが出来る。 長めのコーススレッドビスも打ち込める。 大工仕事につかえる。 作業効率が高い。 |
60(N・m)以上 | ドリルドライバーにハンドルが付いたもの。 木材への大口径な穴あけ。 金属への穴あけ。 |
締め付け電動工具全般のトルクと作業用途の関係表
上記の表を大まかに区分すると以下のようになります。
私の考える大体の目安です。
やりたい事 | 必要なトルク |
・おもちゃの修理。 ・家庭内の簡単なネジ締め。 ・パソコンのメンテナンス ・組み立て式家具の組立。 ・木への細い穴あけ。 |
5(N・m) |
・1×4材や板などで棚を作る。 ・固着したネジ外し ・太めの穴あけ ・50mm程度の長さのコーススレッド使用。 |
30(N・m) |
・2×4などDIY用の柔らかい木材の締結。 ・屋外でのDIY。 ・90mm等の長いコーススレッドでの木材締結 ・DIY用のメイン機。 ・職人のサブ機(軽さ重視)。 |
90(N・m) |
・屋外での本格的なDIY。 ・120mm以上の長いコーススレッド打ち。 |
130(N・m) |
・硬い木材に長いコーススレッドでの締結。 ・120mm以上の長いコーススレッド打ち。 ・木材締結の連続作業。 ・納期のある仕事。 ・作業効率を重視した仕事。 ・太いボルトとナットの締結 |
150(N・m)以上 |
穴あけ作業はトルクだけではダメ。回転スピードも必要。
穴あけについてはトルクも必要ですが、回転スピードの方が重要になってきます。
30(N・m)を超えるトルクのあるドリルドライバーなら、回転数も1000回転/分~2000回転/分程度はあると思います。
であればホールソーなども使えます。
電動ドライバー(3.6V)は安い!手軽に使える!
ただ回転するだけの電動ドライバーは「スクリュードライバー」と言います。
ホームセンターにある3.6Vの電動ドライバーは「ゆっくり回転するだけ」です。
【メリット】
・圧倒的なコンパクトさ!
【デメリット】
・クラッチ機能が無いので、ネジ頭をなめやすい。
・変速機能が無いので、ゆっくり締めるなどの加減できない。
トルクの値は5(N・m)程度ですが、実際使ってみると結構パワフルです。
柔らかい木材なら50mmのコーススレッドを最後まで打ち込むこともできます。
本来、50mmのコーススレッドビスに対する必要トルクは20~30N・mあたりでしょう。
しかしそんな使い方を毎回やっていると寿命を縮める事になります。
3.6V電動ドライバーのトルクでの作業範囲は「ネジ締め」及び「短い木ネジを使った工作」といった程度です。
ドリルドライバーのトルクで出来る作業の目安は?
ドリルドライバーはトルクが小さめです。
ではインパクトドライバーよりも役に立たないのでしょうか?
電動ドライバーと変わらないのでしょうか?
そんなことはありません。
ペンドリルドライバー
ドライバドリルとも言います。
インパクトに比べて非力ですが、繊細な締め付けが得意です。
・クラッチ機能による締め付け過ぎ防止。
・オートストップ機能による締め付け過ぎ防止。
力任せの作業ではなく、機械や制御盤などを相手に電工さんが使う場合が多いです。
ネジや機械を壊さない繊細な締め付け、締め付けトルクの制御(一定トルク)ができます。
中型~大型ドリルドライバー
高速回転で金属への穴あけができます。
振動ドリルの場合は石材(レンガ・コンクリート)等にも穴あけができます。
大口径の穴あけも可能です。
まとめ
インパクトドライバーのトルクは桁違いに強いです。
それだけ強い力で締め付けることが出来ます。
但しドリルドライバーは「パワーがあれば何でもできる!」というわけではありません。
逆にドリルドライバーでは出来ない事もあります。
やりたい事に必要なトルクがどれくらいかを知っておくのは大切です。
「何とか出来る」と「余裕でできる」じゃ全然意味合いが変わってきます。
パワーに余裕がないと壊れますから・・・。
一台ですべてをやろうとすると無理があるので、作業に合ったものを選びましょう。
一般的には「インパクトドライバー」と「ドリルドライバー」は使い分けた方が良いです。
◇ハイパワーなインパクトドライバー
◇精密な制御ができるドリルドライバー
この二つを使い分ける事で、電動工具を長持ちさせ愛着をもって使う事が出来ます。
もっと詳しく知りたい方はこちらの記事が参考になると思います。
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