屋外での作業中、急なゲリラ豪雨に見舞われたり、解体作業で大量の粉じんを浴びたりすることは珍しくありません。
そんな過酷な環境で電動工具が壊れてしまわないか、不安になりますよね。
マキタのインパクトドライバーには、タフな現場を守るための**「IP56」や「APT(アプト)」**といった防じん・防滴機能が搭載されているモデルがあります。

しかし、全ての機種に付いているわけではありません。
この記事では、どのモデルが水やホコリに強いのか、一覧表で徹底比較します。
そもそも防塵・防滴機能ってなに?
電動工具のカタログを見ていると、**「APT(アプト)」や「IP56」といった言葉がよく出てきます。
これらの防塵・防滴機能とは、過酷な建設現場や屋外作業において、「水やホコリによる故障のリスクを減らす」ための保護機能のことです。
防塵の塵はチリと読みます。
小さいごみやほこりみたいなものです。
防滴の滴はしずくと読みます。
水滴の事ですね。
なので防塵・防滴機能とは、
「小さなごみやホコリ、そして雨などの水滴の侵入を防いでくれる機能」
という事です。
具体的にどのような仕組みで、どこまで守ってくれるのかを解説します。
防滴と防水とは違うよ!注意してね!
防滴は雨などの水滴から守ってくれる機能だけど、それは防水機能とは違います。
スマホなんかでも防水機能ってありますけど、あれとは全然違います。
「インパクトドライバーを水深1メートルの水の中に入れても30分間は水が入らない」
そんな機能ではありません。
もしそうであれば完全防水機能です。
APT機能などは防滴ですから、防水とは書いてありません。
防滴機能ありのインパクトドライバーは、水の中にドボンと落としてしまえば故障します。
あくまで防滴であって完全防水ではない事は肝に銘じておきましょう。
IP56ってなに?
IP56(アイピーゴーロク)40Vmaxシリーズなどの最新・最強モデルに採用されています。
• IP5X(防じん): 機器の動作に支障をきたすような粉じんが内部に侵入しない。
• IPX6(耐水): あらゆる方向からの**「暴噴流(強い水流)」**に対して保護されている。
つまり、
「土埃が舞う現場や、台風のような激しい雨の中でも壊れにくい」
という、非常に高い保護性能を証明するものです。
IPX6の場合は「耐水」のような感じです。
自然落下してきた雨よりももっと強い水流、例えばホースの水がバシャッとかかった場合でも大丈夫という意味です。
水没に耐えられる完全防水とは違いますから、そこは覚えておいてください。
主に40Vmaxのプロ用XGTシリーズに標準装備されています。
APT機能ってなに?
APT(アプト / Advanced Protection Technology)
これは、IP規格が電動工具に普及する前からマキタが採用している独自の「防滴・防じん」技術です。
• 仕組み: 本体内部に水やホコリが入りにくいように壁を作ったり、侵入しても重要部品に届く前に外部へ排出する水路を設けたりしています。
• 性能: IP56のような公的な等級ではありませんが、プロの現場での急な雨やホコリには十分耐えうる実績があります。
これは一言で言えばAPT機能はIP56に少し劣る保護機能です。
それでもプロ向け高級インパクトドライバーにしかついていない機能です。
そしてマキタのようなしっかりした電動工具メーカーにしかない機能です。
主に18Vおよび14.4Vのプロ用LXTシリーズに標準装備されています。
IP56とAPTはどちらが優れているの?
結論:IP56の方が優れています(上位互換)。
IP56(国際規格)
IEC(国際電気標準会議)によって定められた世界共通の等級です。
「動作に支障をきたす粉じんが入らない(IP5X)」
かつ
「あらゆる方向からの暴噴流(台風並みの激しい雨)に対して保護されている。
APT(マキタ独自技術)
マキタが独自に定めた「防滴・防じん技術」の名称です。
水や粉じんが入りにくい設計にはなっていますが、IP56のような公的な等級試験をクリアしているわけではありません
(※一部のAPT搭載機がIP試験に合格してIP56を名乗るケースもあります)。
IP56とAPTの範囲は?どこを守ってくれるの?(本体?バッテリー?ケース?)
ここが最大の違いです。
40Vmax(IP56)は「バッテリ」まで守られています。
| 保護範囲 | 40Vmaxシリーズ (IP56) | 18V/14.4Vシリーズ (APT) |
|---|---|---|
| 本体 | IP56 (防じん・防水) | APT (防滴・防じん) |
| バッテリ | IP56 (防じん・防水) | なし (通常の保護) |
| ケース | 防じん・防水 (一部モデル) | 防じん・防水 (一部モデル) |
詳細解説
1. 本体の保護
◦ IP56機種(TD002Gなど): 「暴噴流」に耐える防水性能があります。
◦ APT機種(TD173Dなど): 急な雨程度なら耐えられる「防滴」性能です。
2. バッテリの保護(ここが重要!)
◦ 40Vmaxバッテリ(BL4025等): バッテリ自体が**「IP56」に適合しています。端子間に隔壁を設けたり、水抜き穴を作ったりして、ショートを防ぐ高度な防水構造**になっています。
◦ 18Vバッテリ(BL1860B等): 一般的なリチウムイオンバッテリであり、防水等級(IP56)の表記はありません。水濡れには注意が必要です。
3. ケースの保護
カタログ上では、ケース自体のIP等級についての明確な記述や比較表はありません。
ただし、TD173DやTD002Gなどのフラッグシップ機に付属するケースは、フタの縁にパッキンが付いた「防じん・防水プラスチックケース」が採用されていることが一般的です(小物入れ収納部を除く)。
3、防塵・防滴機能ありorなし一覧表(IP56 or APT or なし)
それでは、現在販売されている全機種について、防じん・防滴性能の有無を見ていきましょう。
「40VmaxはIP56」
「18Vプロ用はAPT」
「10.8VやDIY用はなし」
という傾向があります。
1、40Vmaxシリーズ(最強のIP56)(バッテリ種別:40Vmax XGT)
現在マキタが最も力を入れているフラッグシップシリーズです。
過酷な現場環境を想定し、国際規格のIP56に適合しています。
| 型番 | 保護機能 | 備考 |
|---|---|---|
| TD002G | IP56 | 防じん・防水保護等級IP56適合。最強のタフさ。 |
| TD003G | IP56 | エントリーモデルながらIP56にしっかり対応。 |
2、18V LXTシリーズ(プロの定番 APT)(バッテリ種別:18V LXT)
プロの現場で標準的なシリーズです。
主要なモデルはAPTに対応していますが、アングルインパクトなどの特殊形状機は対象外です。
| 型番 | 保護機能 | 備考 |
|---|---|---|
| TD173D | APT | 18Vフラッグシップ機。当然APT搭載。 |
| TD172D | APT | 前モデルもAPT搭載。 |
| TD157D | APT | 軽量ミドルクラスもしっかりガード。 |
| TD149D | APT | ベーシックモデルでもAPT搭載で現場に強い。 |
| TD138D | APT | シンプル機でもAPT搭載。 |
| TP141D | APT | 4モードインパクト。精密機構を守るためAPT搭載。 |
| TS141D | APT | ソフトインパクト。油圧ユニット等の保護にAPT搭載。 |
| TL061D | なし | アングルインパクトはAPT非搭載。水濡れ注意。 |
| TD156D | なし | LXTバッテリ対応ですが、DIY仕様のためAPTなし。 |
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3、14.4V LXTシリーズ(バッテリ種別:14.4V LXT)
18Vと同様に、主要なインパクトドライバーにはAPTが搭載されています。
| 型番 | 保護機能 | 備考 |
|---|---|---|
| TD162D | APT | 14.4Vフラッグシップ。APT搭載。 |
| TD146D | APT | ロングセラー機。APT搭載。 |
| TP131D | APT | 4モード。APT搭載。 |
| TS131D | APT | ソフトインパクト。APT搭載。 |
| TL060D | なし | アングルインパクトはAPT非搭載。 |
4、10.8V スライド式シリーズ(バッテリ種別:10.8V CXT)
【要注意エリア】 プロ用として人気の高い10.8Vスライド式ですが、軽量化とコンパクトさを最優先しているため、APT(防滴・防じん機能)は搭載されていません。
| 型番 | 保護機能 | 備考 |
|---|---|---|
| TD111D | なし | プロ用だがAPTなし。屋内作業推奨。 |
| TD110D | なし | エントリー機。APTなし。 |
| TL064D | なし | アングルインパクト。APTなし。 |
5、その他シリーズ機 10.8V 差し込み式・ペン型・DIYモデルなど)
これらのモデルは基本的に屋内や軽作業、DIYを想定しているため、防滴・防じん機能はありません。
| カテゴリ | 型番 | 保護機能 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 10.8V 差込 | TD090D | なし | 懐かしの名機も防滴機能はなし。 |
| ペン型 | TD022D | なし | 電気設備用だが防水ではないので注意。 |
| ペン型 | TD021D | なし | 旧モデル。なし。 |
| 18V ライト | MTD002D | なし | DIY専用機。APTなし。 |
| 14.4V ライト | MTD001D | なし | DIY専用機。APTなし。 |
| 14.4V ライト | M695D | なし | DIY入門機。APTなし。 |
4、防塵・防滴機能付きを買った方が良い人とはどんな人?
表を見て「10.8VやDIY用には付いていないのか」と気付かれたと思います。
では、あえてコストをかけてでも「IP56」や「APT」付きを選ぶべきなのは、どのような人でしょうか?
✅ IP56 / APT付き(40Vmax / 18V / 14.4V)を選ぶべき人
1. 屋外作業がメインの職人さん: 大工、鳶、外構、足場屋さんなど。「作業中に雨が降ってきても、キリが良いところまでは止められない」という状況があるなら必須です。
2. 粉じんまみれになる現場の人: 解体業、ボード屋さん、サイディング屋さんなど。微細な粉じんはスイッチの接点不良やモーター故障の最大の原因になります。APT/IP56はこれを防ぐ構造になっています。
3. 道具をタフに使い倒したい人: 現場の地面に直置きしたり、多少ラフに扱ったりしても壊れにくい安心感が欲しい方。
❎ 機能なし(10.8V / DIY / ペン型)でも問題ない人
1. 完全屋内作業の人: 工場内のライン作業、家具の組み立て、リフォームの仕上げ、室内の電気配線など。雨に濡れるリスクがゼロなら不要です。
2. DIYユーザー: 「雨の日にわざわざ外でウッドデッキを作らない」という方なら、APTなしのモデルでも十分長持ちします。
3. 「軽さ」こそ正義の人: 防滴シールドを入れると、どうしてもボディが大きく、重くなります。10.8Vシリーズは防御を捨てて「軽さ」に特化したスプリンタータイプと言えます。
結論
• **「どんな天気でも戦う」**なら → IP56 (TD002G)
• **「現場での信頼性が第一」**なら → APT (TD173D)
• **「室内メインで軽く済ませたい」**なら → 機能なし (TD111D)
ご自身の作業環境に合わせて、最適なタフさのモデルを選んでください!
まとめ
• 「とにかく水や埃に強い最強装備がいい」
→ IP56 対応の 40Vmaxシリーズ(TD002Gなど)。 本体だけでなく、バッテリまで防水なのが最大の強みです。
• 「普通の雨程度なら凌げればいい」
→ APT 対応の 18Vシリーズ(TD173Dなど)。 プロの現場で長年実績があり、実用十分なタフさを持っています。